声を掛ける

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閉じ籠もっていた部屋に明るい日差しが入って来た。外に目を向けると烏と目が合い、私にアホカァと一声鳴いて飛んで行った。烏は私の日常を見ていたのか、何とかしなければと考えて、近くの農園で人手を求めていたので、行くと私と男の二人だけ、直ぐに採用された。
私は下を向いたまま作業をしていたが、男は誰とでも話し皆を和ませていた。
一ヶ月経った頃、男は相変わらずの私に、植えた苗を見に行こうと誘った。途中の道で鳥達に食べ残したパンの欠片を与えたり、畑の苗には良く育てよと声を掛けたりした。
私は男に羨ましいなと言うと、男は自分の事を語り始めた。
俺は今まで一人で暗い人生だった。或日鏡に映る自分に、褒め言葉で話し掛けると丁度朝日が当たり顔が輝いていた。俺って明かるかったんだと自信が持てて鳥や草花にも声を掛けている内に、人とも自然に話せ毎日が楽しくなったよと笑った。
私も今から彼の真似をして生きようと思った。
ファンタジー
公開:26/03/01 14:40
更新:26/03/01 18:12

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