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 その男は、数字の『7』を激しく憎んでいた。男の住んでいる小さなアパートの部屋には、あらゆる物から『7』の数字が消されていた。時計、温度計、カレンダー、本、リモコン、食べ物の賞味期限。住所にも部屋番号にも『7』は入っていなかった。街を歩いていて、『7』の数字を目にすると、男は、暴力的な行為が発露する前に、慌ててその場を立ち去るのが常だった。男が『7』を激しく憎んでいる理由は、誰にもわからなかった。人々は理由を知りたがったが、男は口を閉ざしていた。様々な噂が流れた。やがて男は孤立した。そんな男に、唯一の友人が残った。友人は理由を詮索しなかった。「まぁ、そういうのって誰にでも何かあるよな」男はその友人にだけ心を許していた。そんな友人がある日、交通事故で急死した。葬式が開かれることになった。男は友人の両親から連絡を受けた。その葬式に出るためには、男は7時に目覚めなければならなかった。
その他
公開:26/02/25 06:20

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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