救急箱

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 夜、お母さんと、ベランダで、夜空を眺めていた。するとお母さんがふいに、「あらっ」と言った。「けがをしているわ」そう言ってお母さんは、自分の部屋に引っ込んだ。そして、すぐにまたベランダに戻ってきた。お母さんは救急箱を持っていた。「誰がけがをしているの?」僕がそう尋ねると、お母さんは「宇宙よ」と答えた。「その救急箱には何が入っているの?」僕がそう尋ねると、お母さんは救急箱の蓋を開けた。救急箱から光が放たれた。目を細めて見ると、救急箱の中には星が詰まっていた。「ちょっと行ってくるわね」そう言ってお母さんはふわりと宙に浮かび、ベランダから夜空へ飛んでいった。僕は眠かったので眠ることにした。翌朝、いつものように台所に行くと、お母さんがいつものように朝食を作っていた。「おはよう」「おはよう」菜箸を握るお母さんの指に、絆創膏が巻かれていた。
ファンタジー
公開:26/02/24 08:03

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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