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「少しは、よくなってくのかなあ?」

隣の席から声が聞こえる。見るけれど、こっちを向いていない。ひとりごとかな、でも、考える。

「少しは」が、暖かさを指すのなら、まだまだ、裏切られてしまうかな。夕陽の溶けるのが、ちょっとばかり遅くなって「まだ明るいんだねえ」と思える瞬間は、それでもいまよりは…

そのほんの微かな光の加減に、頬を桃色にゆるめて。

重たいコートはもううんざり。
ここ最近の冷え込みを思い出し、そろそろ春の気配が恋しくなってくる。

三寒四温をくり返して、ゆっくりと、着実に、一歩ずつ。
その先に見える光の春―

ふっと風が吹いたような気がして

お、ちょっと春っぽいかも?

そう思える瞬間も、もうあと少し。
それを永遠と勘違いしながらも、その小さな移ろいを、見つめ続けていくんだ。












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その他
公開:26/02/24 03:08

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