スマート

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翔太がポケットからスマートを取り出すと潤は車窓に向けていた顔を戻した。
「昔はスマトに電話機能があったんだってな」
「知ってる。スマートフォンでスマホって呼んでたんだぜ」
「すごいよな。電話で会話するとか考えられないよな」と潤は肩をすくめた。
聞いた話だと、と翔太は言った。
「無言電話に出たら最期だったんだって。もしもし、の一言で声のサンプルが盗られて、その日のうちにAIで生成された自分の声で両親宛にオレオレ詐欺の電話が掛かってきてたんだと」
やベーな、と潤は自身のスマトを眺めながら「確実に信頼出来る会話って、直で会うしかないもんな」と車窓へ視線を戻した。
「テクノロジーに溺れた未来なんて想像すら出来なかっただろうな。昔は」と翔太。着いた、と独りごちた。
目的地のホームに立つ二人。
「潤は今回何の用事で実家に話をかけにきたの」
「そらあれよ、オレオレって言うだけさ」
「詐欺よりはマシ…か」
SF
公開:26/02/27 00:28
更新:26/02/27 06:23

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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