誘惑
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風邪薬を買いに外に出ると、雑踏の中で、お姉さんがポケットティッシュを配っていた。きれいなお姉さんだったので、一つ受け取った。歩きながら、そのポケットティッシュを見ると、一枚の紙が入っていた。そこには『世界を滅亡させませんか?』という言葉とともに電話番号が印刷されていた。はっとして振り返ると、さっきのお姉さんはなぜかもうどこにもいなかった。俺はとりあえずそのティッシュで鼻をかんだ。風邪は辛い。こんなに辛い世界、滅んでしまうのもいいかもしれない。俺はスマホを取り出し、ポケットティッシュの電話番号に電話をかけた。お話し中だった。俺は電話を切って、とりあえず、世界を滅亡させるための第一歩として、さっき鼻をかんだティッシュを、道端にポイ捨てして、立ち去った。
その他
公開:26/02/26 20:18
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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六井象