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朝七時、駅前の列が少し長い。
電光掲示板は「通常運行」。
五分。十分。
誰も騒がない。
表示が次の便に変わる。
さっきの便は、なかったことになる。
一本だけ来たバスは満員。
乗れなかった人が、唇をかむ。
列は減らない。
スーパーの棚に、牛乳が三本。
「入荷未定」の札が増える。
六十歳の運転手が、白くなった指でハンドルを握る。
肩が、わずかに震えている。
若い顔は、ほとんど見ない。
一年後、減便が普通になる。
三年後、配送は週三回。
ある朝、子どもが聞く。
「なんで、すぐ来ないの?」
母は少し考え、目を伏せる。
「今は、そういうものなの」
遠くで鳥が鳴く。
世界の基準が、そこで書き換わる。
静かな崩壊は、音を立てない。
電光掲示板は「通常運行」。
五分。十分。
誰も騒がない。
表示が次の便に変わる。
さっきの便は、なかったことになる。
一本だけ来たバスは満員。
乗れなかった人が、唇をかむ。
列は減らない。
スーパーの棚に、牛乳が三本。
「入荷未定」の札が増える。
六十歳の運転手が、白くなった指でハンドルを握る。
肩が、わずかに震えている。
若い顔は、ほとんど見ない。
一年後、減便が普通になる。
三年後、配送は週三回。
ある朝、子どもが聞く。
「なんで、すぐ来ないの?」
母は少し考え、目を伏せる。
「今は、そういうものなの」
遠くで鳥が鳴く。
世界の基準が、そこで書き換わる。
静かな崩壊は、音を立てない。
ホラー
公開:26/02/21 21:00
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