二本で千円

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「たけや〜さおだけ〜」

午後の住宅街に、拡声器の声が流れる。

二本で千円。

窓を開ける。
軽トラックが止まる。

「二本ください」

男は素早く竹を下ろす。
長さを測る。
鋸の音。

「四万円です」

「え?」

「特別品。ステンレス芯入り。
もう切りましたからね」

道路に、短くなった竹が転がる。

「二本で千円では」

「それは安いほう」

声が強くなる。

隣の家のカーテンが揺れる。
誰も出てこない。

財布を出す。

四万円。

紙幣を渡す。

領収書はない。

軽トラックは角を曲がる。

静かになる。

庭に残ったのは、
少し長すぎる竹が二本。

切り口は、
驚くほどまっすぐだ。

夜、検索する。

「移動販売 クーリングオフ」

ページは開く。

更新日:二年前。

スクロールする。

庭に出る。

竹は、
まだ立てかけられている。

洗濯物は干していない。
ホラー
公開:26/02/20 19:00

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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