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 幼い少年には、爪を噛む癖があった。少年の母親は、いつもそれを注意していた。「爪を噛んじゃだめよ」少年の癖はなかなか治らなかった。「ママを困らせないで」しかし成長するに従って、少年のその癖は徐々に、自然と矯正されていった。やがて、少年がまったく爪を噛まなくなった頃、少年は、ある夜、自身の手の違和感で目を覚ました。少年が自身の手を見ると、母親が、少年の爪を噛んでいた。「ママを困らせて」母親は言って、微笑んだ。
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公開:26/02/18 16:34

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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