氷上の設計図

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リンクの隅に、古いストーブが置いてある。
誰も火を入れない。

朝の氷は、まだ誰の刃も通していない。
白い面に呼吸が曇る。
彼は靴紐を締める。
三度目の息だけが、胸の奥で止まった。

振付表には空欄が多い。
回転数の欄だけが、妙に広い。

滑り出す。
音が遅れてついてくる。
高く跳ばない。
速くも回らない。
刃は氷を深く削った。

演目終了。
表示板に数字が並ぶ。

 6.0
 6.0
 6.0

静まり返る。

氷の上の線だけが、消えなかった。
SF
公開:26/02/18 07:00
更新:26/02/18 04:40

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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