商売人

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 ある夜、極秘の海路を使って、異国の商人たちが俺たちの国の市場を訪れた。異国の商人たちは、大量の塩を買いたいと言った。あれ……確かこいつら……。異国の商人たちは、袋から金貨を取り出した。その金貨には、ナメクジの姿が刻まれていた。ああ、そうだ、こいつらはナメクジの王に統治されている国の連中だ。そいつらが塩を買いに来た。クーデターでも起こすのだろうか。俺は値段を目いっぱい釣り上げて交渉した。異国の商人たちは少しも値切ることなく、ナメクジが刻まれた金貨の山で、大量の塩を買っていった。そしてそれを積んだ船で帰っていった。数週間後、あの連中と塩が乗っていた船が、帰国途中で沈没したというニュースが伝わってきた。あれだけの塩を積んでいたのだから、海の塩分が少し濃くなっただろうという冗談が流れた。そして俺たちはいつものように、我が国の女王であるアリのために、異国へ砂糖を買い付けに出かけた。
ファンタジー
公開:26/02/19 21:01

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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