それぞれのキャリア

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 プライベートのテレビタレントが街を歩いていると、少女がそのタレントに気づき、声をかけた。タレントは愛想よく応じた。
「あたしあなたの大ファンなんです」
 少女が言う。
「そうなの、ありがとう」
「サインください」
「いいわよ」
 少女は鞄から、ペンを取り出す。
「何にサインすればいいのかしら」
 少女は鞄から一匹の白い蝶を取り出す。
「この子の翅にお願いします」
「この蝶はどうしたの」
「あたしが作ったんです」
 蝶は弱々しく息をしている。
「初めて作った生命だからあんまり出来はよくないけど」
「へえ、そうなの」
 タレントは蝶の白い翅に小さくサインをする。
「ありがとうございます」
「これからも頑張ってね」
 タレントは声をかける。
「はいっ、頑張ります」
 三十年後、そのタレントは、少女が設立した会社のCM撮影で、自身のクローンたちに囲まれて笑顔を見せている。
SF
公開:26/02/19 08:36

六井象

短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/

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