焦げ跡のない2月14日

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今年の二月十四日は、
ずいぶん静かだった。

昔は、
何かしら燃えていた。
甘い話も、
腹立たしい話も。

いまは違う。
チョコは小さくなり、
値札だけが少し重い。
それでも、
誰も声を荒げない。
怒るほどの熱が、
うまく出てこない。

若いころは、
義理だの本命だのと騒いだ。
断られれば腹を立て、
貰えれば胸が熱くなった。

いまは自分で買う。
小さな箱を、
静かにレジへ差し出す。

前に並ぶ若い人も、
同じ箱を持っていた。
誰にも渡さない顔で。

店員が、
「ご自宅用ですか」と聞く。
少しだけ、
間があった。

甘さは変わらないはずなのに、
舌の奥に
うすい苦みが残る。

夜、窓を閉める。
街はよく整っている。
煙も、騒ぎもない。

ただ、
どこにも焦げ跡がない。

私の手も、
きれいなままだ。

燃えないことに、
少し安心している。
その他
公開:26/02/14 23:36

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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