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この会社では、来客用の飴が受付に置かれている。

誰でも取っていい。

役員が、数粒をポケットに入れるようになった。

会議前、
若手に差し出す。

「甘いの、どう?」

若手は、
一瞬だけ周囲を見た。

受け取る者もいた。
笑う者もいた。
断る者もいた。

ある日、総務からメールが届いた。

> 個人的な菓子類の配布はお控えください。



翌日から、彼は飴を配らなかった。

自分の机の端に、
小さな皿を置いた。

透明な飴が三つ。

夕方には、
一つだけ残っていた。

彼はそれを見つめたまま、
手を伸ばさなかった。

翌週、受付の飴は
別の味に替わっていた。

彼はもう、
ポケットに入れなかった。
その他
公開:26/02/16 19:00
更新:26/02/16 09:38

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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