0
1

玉座の前で、
彼はそう言った。

「俺の部下になれ。
そうすれば、
世界を半分やろう」

若い頃なら、
少しは迷ったかもしれない。
力も、秩序も、
確かに魅力的だった。

だが私は、
その言い方に覚えがあった。
会議室の長机。
夕方の台所。
条件付きで
安心を差し出す声だ。

「従えば、守ってやる」
「逆らわなければ、与える」

半分、という言葉は、
全部奪ったあとで
返す量のことだ。

彼は気づいていない。
もう世界は、
半分にできるほど
一枚ではない。

私は剣を下ろした。
柄が、少し重かった。
戦うためではなく、
断るために。

「全部はいらない」

そう言うと、
彼は初めて
困った顔をした。
ファンタジー
公開:26/02/11 19:00

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容