④ 貨幣

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羊と麦が並ぶ市場に、
冷たい円盤が置かれた。

リディアの金貨。
刻印が、陽をはね返す。

重さは同じ。
音も同じ。

遠くの町まで、
それは通じた。

土地に触れ、
手に渡り、
汗の上を滑る。

やがて値がつく。
畑にも、
一日の労にも。

数は静かに残り、
指ではほどけなくなる。

借りた者の名は刻まれ、
返せぬ者の家が削られる。

金属は便利だった。
だが触れたものを、
同じ音にする。

夕暮れ、
市場に響く音は一つ。

違うはずのものが、
同じ音で鳴る。

その音だけが、
夜に残る。
その他
公開:26/04/11 19:00
更新:26/02/12 05:51
#歴史断面

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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