③ 文字

0
1

穀物庫が膨れ上がり、
指折りの数では足りなくなった。

ウルクの粘土は湿り、
葦の先が押しつけられる。

誰が納め、
誰が受け取ったか。

土は黙って、重くなる。

読む者が現れ、
声にして告げる。
名を呼ばれた者は頷き、
呼ばれぬ者は沈黙する。

やがて石に刻まれる。
高く立つ柱の影の下で。

刻まれた法は動かない。
だが刻む手は、動く。

忘れられなくなった。
だが削られ、
塗り重ねられ、
印は形を変える。

真実は残る。
ただし、
読むことを許された者の中に。
その他
公開:26/04/04 19:00
更新:26/02/12 05:50
#歴史断面

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容