熱の踊り

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熱が踊っている。

それは生きる人の熱。今にも命を奪おうとする雪山に必死に抗う生き物の熱。

踊る腕が振り上がると、熱は身体と連動する。寒い空気は押しだされ、代わりにさっきまで腕のあったところを埋めていく。

踊る熱は徐々に温度を下げながら、それでもなお踊りつづけた。熱は何かを伝えている。

私はそれを知るために熱に近づいていく。踏み込んだ左足には右足よりも少し多くの血が流れる。それは微かに熱を生んで、私の輪郭を明確にする。

雪は熱を拒み、鋭さを更に増していく。

踊りは佳境を迎えていた。かつてないほどの激しさで雪上を舞うひとつの熱。命の最後の灯火と知りながらもどうにも美しく見えてしまう。

やっと熱を帯びる私の右手が熱の左胸に触れた。かぼそい熱の糸が私の右手を伝ってゆく。

やがて熱は寒さに消えて踊りも止まった。今は私の熱だけがはっきりと燃えている。
その他
公開:26/02/05 22:30
更新:26/02/05 23:49

てっど

ぜひ仲良くしてください。 
高校生です。ジャンルは純文学、詩、SFが多いと思います。
物書き自体を最近始めたばかりなので、いろいろ教えていただけると嬉しいです。
 

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