「殺さないで」から始まる十二支考 亥年

2
3

「殺さないで」
 なぁ~んて言ってるヒマァ~ねぇんだ実際のハナシがさぁ~、なぁ、にーチャン、ホントだぜぇ、ホント、こ、ろ、さ、くらいでドンッつってよぉ~ ひでぇ~もんだったんだ、ったくよぉ~、
 中央線立川行の終電の分倍河原から乗ってきた、作業着姿で赤ら顔の小さなおじさんが、酒の臭いをさせながら僕の前に立って、電車が揺れるたびにつんのめりながら、話しかけてきた。
 あいつら、誰だって構わねぇ~んだよぉ~、猪突猛進っていうだろ、な、前なんかみちゃいねぇ~んだからさぁ~、正直モンだろ~が、泥棒だろうが、もぉ~カンケ~ねぇかんなぁ~だから、だからですヨ、真っ当なことしてちゃぁ~バカぁ~みるだけなんデス、ホントの話がさぁ~。誰だってかまわねぇ~んだよぉ~、前なんか見ちゃいねぇ、バーッと来たヤツにぶつかられたらぁ御終いなのよ。バカバカしいねぇにーチャン。ホントだよ。死ってのはな、そうやって来るんだ。
ファンタジー
公開:26/02/07 21:43

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容