角の生えた血行の良さそうなマッチョ

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子どもの頃、この地域では恵方巻きはまだ今ほどメジャーではなかった。 炒った大豆は好きだったが、七草の香味は若い自分には少しきつく、祖父母に「良薬は口に苦し」と言い聞かされ、自分でもそう信じ込もうとしつつ、どろっとしたご飯を飲み込んでいた。あれはちょっとした挑戦だったと思う。

夕方になると、鬼がやってくる。 体つきも声も父なのに、顔はお面で隠されている。母が用意してくれた大豆を握りしめ、玄関の前で構える。ぶつけて追い払わなければならない。

絵本に出てくる鬼は恐ろしいと言われつつも、主人公にあっさり成敗される存在だった。 しかし実際に現れた鬼は怖かった。父のように。昭和の父親は、今ならいろいろ取り締まられてしまうようなことが許容されていた。

金棒も虎柄のパンツも身につけていなかったが、それでも鬼だと分かった。 ホワイトクリスマスのサンタクロースは姿を見せずどういう格好か分からないままだ。
その他
公開:26/02/03 22:20

御番茶序曲( ここ )

大学生のときは哲学をやっていました。今はWEBエンジニアをやっています。言葉を磨きたくなって人間向けの文書を作るためにここに来ました。煽て頂けると嬉しいですが厳しい言葉も歓迎する予定です。違っていたらすみません。よろしくお願いします。

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