かぐや姫の話(返却不能な贈与)

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昔、光る子が見つかった。
由来は不明だが、価値は高いと判断された。
育てられ、与えられ、名が付いた。
恩は積み上げられたが、記録は残っていない。

成長とともに、要求が出された。
宝、証明、成果。
応じた者はいなかった。
困難すぎたからだと整理された。

迎えが来た。
拒否は試みられたが、効力はなかった。
別れは不可避と判断された。

残されたのは贈与だけだった。
時間、労力、期待。
返却手段は用意されていなかった。

薬は渡されたが、使われなかった。
意味を残すより、関係を終わらせる選択だった。

記録にはこうある。
姫は月へ帰った。
人は守れなかったが、責任も負わなかった。

贈与は善意として語られる。
だが返せないものを与えた時点で、
その後始末は、最初から放棄されている。
ファンタジー
公開:26/02/26 07:00

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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