瘤取り爺の話(横流し)

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昔、瘤を持つ老人がいた。
治療はされていなかったが、記録には残っていた。

ある夜、山で音がした。
祭りとも集会とも言われる。
老人は巻き込まれ、
瘤は面白がられて外された。
理由は説明されていない。
邪魔だったからだと整理された。

噂を聞いた別の老人がいた。
同じ瘤を持ち、
軽くなれると思い、
再現を試みた。
夜を選び、場所を合わせ、
同じ動きをなぞった。
だが場は現れなかった。
条件不足とされた。

後に別の報告が出た。
最初の瘤は、
別の老人に付与されていた可能性がある。
処理の一環だった、と。

瘤は減っていなかった。
移動しただけだった。

記録はこうまとめられた。
「成功例あり。
ただし再現性なし。
利益は共有されていない」

今も人は言う。
「運を掴めた者が賢い」と。
だが、
誰の瘤が消え、
誰に回ったのかは、
数えられていない。
ファンタジー
公開:26/02/22 07:00

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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