一寸法師の話(規模補正)

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昔、小さな男がいた。
最初から小さかったと記録されている。

家を出た理由は不明。
志があったとも、居場所がなかったとも言われるが、
初期資料には含まれていない。

都で働いた。
任された仕事は軽微だった。
量も責任も、体格相応だった。

事件が起きた。
鬼が出た、と整理された。
小さな男は立ち向かい、
結果として、生き残った。

勇敢だったと評価された。
比較対象がなかったからだ。

針は刀と呼ばれ、
椀は舟と記された。
実寸は報告書から削除された。

報酬が出た。
姫、地位、拡大。
小ささは克服されたことになった。

後年、検証が行われた。
同条件での再現は不可能だった。
道具、相手、状況が揃わなかった。

結論として、
成果は否定されなかった。
ただし、倍率が不明と付記された。

今も人は言う。
「大きく成長した」と。
だが変わったのは、
本人ではなく、
尺度の方だった。
ファンタジー
公開:26/02/20 07:00

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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