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長年使ってきた整理タンスの引き出しを綺麗にしようと、久しぶりに奥まで開けると、乾いた埃の匂いとともに、時間が絡まったような気配が立ち上った。
そこには、古い写真やいつか何かの役に立つはずだと信じて仕舞っておいた使わなくなった電気部品のコードや真空管、寝ながらテレビが聞ける小さなスピーカーセット、世界中の短波放送が聴ける古いスリーバンドラジオ等が、互いにもつれ合うように眠っていた。
触れるたび、過去の自分がまだ使うぞと囁く。だが今の自分には、その声は夢の残響に過ぎない。迷いながらも不燃ごみ用の黄色い袋に入れていくと、袋はまるで異界の口のように黙って受け入れた。
最後にラジオを入れた瞬間、微かな雑音が鳴り、知らない国の挨拶が確かに聞こえた様に思えた。
袋を結ぶと、引き出しは空になり、部屋には時間が一枚剥がれ落ちたような、不思議な静けさが残った。
さあー、今から新しい世界へ生きて行こうと思った。
そこには、古い写真やいつか何かの役に立つはずだと信じて仕舞っておいた使わなくなった電気部品のコードや真空管、寝ながらテレビが聞ける小さなスピーカーセット、世界中の短波放送が聴ける古いスリーバンドラジオ等が、互いにもつれ合うように眠っていた。
触れるたび、過去の自分がまだ使うぞと囁く。だが今の自分には、その声は夢の残響に過ぎない。迷いながらも不燃ごみ用の黄色い袋に入れていくと、袋はまるで異界の口のように黙って受け入れた。
最後にラジオを入れた瞬間、微かな雑音が鳴り、知らない国の挨拶が確かに聞こえた様に思えた。
袋を結ぶと、引き出しは空になり、部屋には時間が一枚剥がれ落ちたような、不思議な静けさが残った。
さあー、今から新しい世界へ生きて行こうと思った。
ファンタジー
公開:26/02/01 13:49
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gonsuke