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五歳の息子が一凛の花を見つめていた。彼はきっとその花の名を知らないだろう。どう育ち、なぜ花弁をつけて、どう命を繋ぐのかも。あの花の何に彼は魅かれているのだろう。もしかしたら彼は蜂の生まれ変わりかもしれない。そんなおかしな冗談がふっと浮かんでは通り過ぎた。私は彼に近づいていく。途中足音に気が付いて、彼はくるりとこちらを向いた。
「それはスミレって言うんだよ」
私は彼に優しく告げる。一拍置いて、彼はスミレの方に顔を戻す。花の名前は彼の目に映るスミレの姿を変えただろうか。きっと変えただろう。子供はどんな些細なことでも吸収していく。ひっそりと、けれど気高く伸びていく。じきに私より多くの事を知っていき、多くの小さな幸せを見つけていく。私は気づけばそう祈っていた。
スミレは紫の花を俯くように咲かしていた。それはまるで何かを覗いているようだ。彼は蜂ではなくスミレなのだと、私はようやく気が付いた。
「それはスミレって言うんだよ」
私は彼に優しく告げる。一拍置いて、彼はスミレの方に顔を戻す。花の名前は彼の目に映るスミレの姿を変えただろうか。きっと変えただろう。子供はどんな些細なことでも吸収していく。ひっそりと、けれど気高く伸びていく。じきに私より多くの事を知っていき、多くの小さな幸せを見つけていく。私は気づけばそう祈っていた。
スミレは紫の花を俯くように咲かしていた。それはまるで何かを覗いているようだ。彼は蜂ではなくスミレなのだと、私はようやく気が付いた。
その他
公開:26/02/02 17:31
ぜひ仲良くしてください。
高校生です。ジャンルは純文学、詩、SFが多いと思います。
物書き自体を最近始めたばかりなので、いろいろ教えていただけると嬉しいです。
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てっど