さるとかにの話(精算)

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昔、かには柿の種を持っていた。
さるは食べたがっていた。
取引が行われ、種は渡った。

木は育ち、実がなった。
さるは登り、かには下で待った。
実は落ちた。
柔らかいものは取られ、
硬いものだけが、下へ落ちた。

かには潰れた。

その後の話は、よく知られている。
仲間が集まり、
火、刃、重さが用意され、
さるは処理された。

ここから先は、教訓になる。
弱者を侮るな。
欲張るな。
因果応報。

だが、帳簿には別のことが残っている。

最初の交換は、成立していた。
条件は曖昧で、保証はなかった。
それでも、合意はあった。

誰も、そこを語らない。

だから今も、
人は「正しい復讐」の話を好む。
契約の失敗より、
精算の物語の方が、安心できるからだ。
ファンタジー
公開:26/02/06 07:00

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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