鶴の話(残った約束)

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昔、雪の中で一羽の鶴を助けた老人がいた。
それだけは、確かに語り継がれている。

夜、女が訪ねてきたとも言う。
機を織り、布を残して去ったとも。
だが顔も声も、もう覚えられていない。

「決して覗くな」
その言葉だけが、強く残った。

布は財になり、
話は教訓になった。
欲を出すな。
約束を守れ。
恩を忘れるな。

鶴が何を返したのか、
なぜ隠れたのか、
誰も語らなくなった。

最後に残ったのは、
戸の向こうを想像する癖だけだった。

だから今も、人は閉じた部屋を見ると躊躇する。
中に何があるのかは知らない。
ただ、
「覗くな」という声だけが、
理由もなく残っている。
ファンタジー
公開:26/02/04 07:00

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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