ショートストップ

0
1

―準備いいか?

監督の声が響く

最初で最後の出番は、最終回の守備固め

うまいわけじゃないタキは
監督や先輩から外野を勧められた

でも、それは意味がない
セカンドがトスした球を、横滑りしながらベースをかすめ
その勢いで一塁へ送球

その一連の美しさが「4-6-3」の「6」

 「6」じゃないと意味ないよねえ

それはリオもよく聞いていた

結局「6」に球は一度も飛んでこなかった
4-6-3どころか、ただの一度もボールに触れず
タキの女子野球人生は終わった

試合後、観客席のリオは、かける言葉をさがし、立ち尽くしていた
悔しくて、きっと泣いているに違いない

けれど、かけよってきたタキは、さっぱりとした笑顔で

―終わったぞい

そんなタキを見ていたリオの視界が急ににじむ

タキが笑って、リオが泣いて

―なんでリオ泣いてんの

夕陽のなかでタキの背中が眩しかった








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青春
公開:26/07/25 16:43

あまなす / 雨茄子


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