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「妖怪っていると思う?」

幼い頃、夏祭りの帰り道で彼女は僕にそう言った。

「いるわけないだろ」

「いるよー。この峠の名前、知ってる?」

「妖怪峠だろ」

「ここはね、昔、人間の男の子と妖怪の女の子が待ち合わせをした場所なんだって」

「御伽話だろ」

「本当だよ」

「それって、最後にどうなるの?」

「さぁ? でも、いつか分かるわよ」

「また、ここで会いましょう」

二十年後。
故郷の夏祭りで、懐かしさに誘われた僕は妖怪峠へ迷い込んだ。

「久しぶり」

そこには、あの頃の彼女がいた。

「ここが妖怪峠って呼ばれる理由、覚えてる?」

「人間の男の子と妖怪の女の子が待ち合わせをした場所……」

「もう時間。振り返らずに峠を下りて」

僕は峠を下りきると、出口で振り返った。

誰とここに来たんだっけ?

山風が頬を撫でた。

「さようなら。元気でいてね」

そう聞こえた気がした。
ファンタジー
公開:26/07/20 20:13
更新:26/07/21 13:49

加賀美 秋彦

加賀美 秋彦と申します。
2025年4月から、ショートショートを書き始めました。
色々なジャンルの作品を書いています。
よろしくお願いします。

作品イラストはフリー素材やAIで作成したものです。

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