兼務札

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戻紙城塞では、手伝う者に兼務札が渡される。

薄い木札で、首から下げても重くない。
表には、補助、とだけある。

前回接触者になったタカシは、朝から紙戻し課に呼ばれていた。

「次回候補って、今日のことかよ」

笑っていたが、札を受け取る手は少し止まった。

セウゴは聞いた。

「補助なら、終わったら返すんだな」

紙戻し騎士長はうなずいた。

「もちろんです。兼務が終われば」

昼までに、タカシは三束の紙を運んだ。
セウゴは札の控えだけを見ていた。

前任者が違う。
確認者が違う。
担当欄が空いている。
所属が合わない。

「おれ、本来どこの手伝いだったっけ」

セウゴは答えなかった。

夕方、タカシが札を外そうとした。
紐はすぐほどけた。

だが木札は、手の中で裏返った。

本務未確認。

セウゴは名札棚を見た。

城塞改善係の棚で、
タカシの札だけが半分ほど薄くなっていた。
ファンタジー
公開:26/07/12 18:00
更新:26/07/10 13:26
#紙戻し課

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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