人足欠乏表

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戻紙城塞の塔には、人足欠乏表が貼られている。

紙戻し課の欄だけ、いつも赤い。

不足、三名。
不足、五名。
不足、昨日と同じ。

兼務札を下げたタカシが言った。

「おれ、数に入ってないのか」

紙戻し騎士長は表をなぞった。

「兼務は人足ではありません。善意です」

セウゴは赤い点の増えた名札を押さえた。

「善意で紙を運ばせているのか」

「助かっています」

昼過ぎ、他の課から二人呼ばれた。
一人は写し札を束ね、一人は古い紙を運んだ。

夕方、人足欠乏表が更新された。

不足、七名。

タカシが笑わなくなった。

「増えてるぞ」

騎士長はうなずいた。

「慣れた者が増えると、足りない場所も見えてきます」

セウゴは名札の赤い点をこすった。
落ちなかった。

夜、塔の下で表がめくれた。

裏には小さく書かれていた。

補充者は、人足に含めない。

セウゴの赤い点が、一つ濃くなった。
ファンタジー
公開:26/07/14 18:00
更新:26/07/10 13:27
#紙戻し課

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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