赤鉛筆の人

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紙戻し課には、赤鉛筆の人がいる。

その人は、誰にも怒鳴らない。
ただ、戻す紙の端に細い朱線を引く。

印が浅い。
名が違う。
確認が先。
理由が後。
余白が多い。

朱線が増えるたび、紙を出した者の夜番火が少し短くなる。
帰り道の影も、その分だけ薄くなるという。

兼務札を下げたタカシは、戻された紙束を見て笑った。

「赤で書くと、偉く見えるな」

セウゴが止めようとした時、赤鉛筆の人が一本を差し出した。

「前回接触者なら、確認だけお願いします」

タカシは受け取らなかった。

その拍子に、紙束が崩れた。
セウゴは反射的に端を押さえた。

赤鉛筆は、ひとりで転がった。

紙の端が、細い朱線を受け入れた。

確認者未記入。

夕方、セウゴの名札の下に、赤い点が増えていた。

赤鉛筆の人は、少し短くなった鉛筆を削っていた。
ファンタジー
公開:26/07/13 18:00
更新:26/07/10 13:26
#紙戻し課

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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