前回接触者

0
1

戻紙城塞の中庭に、掲示板だけの村がある。
古い札は小屋のように並び、新しい紙は隙間に貼られていく。

朝から紙が増えていた。

至急。
判断求む。
人足不足。
一度だけ助力願う。

横には、別の札がある。

勝手に触れるな。
判断するな。
写し札を増やすな。
関係者以外、記すな。

タカシは腕を組んだ。

「助けろって言ってるのに、触るなって書いてあるぞ」

セウゴは言った。

「だから、みんな見ているだけなんだ」

昼前、一枚の札が落ちかけた。
タカシが押さえた。

「落ちそうだったから」

隅で鐘が鳴った。

午後、その下に追記が増えた。

助力確認済。
前回接触者、タカシ。

夕方、誰かが下に書いた。

ありがとうございました。

翌朝、その文字には赤い印が押されていた。

私記。

代わりに、新しい札が貼られていた。

次回候補。

その札だけが、タカシの方を向いていた。
ファンタジー
公開:26/07/11 18:00
更新:26/07/10 13:25
#紙戻し課

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容