紙戻し課

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戻紙城塞には、紙戻し課がある。

白い回廊の奥で、紙だけが乾いていた。
石壁には、差し戻し札が何枚も掛かっている。

印の位置が違う。
欄の幅が違う。
写し札が多い。
説明が短い。
空欄がある。

改善係のセウゴは、札の前で足を止めた。

「これ、戻すための課?」

横でタカシが言った。

「違う。処理する課だ」

セウゴは答えた。
だが処理済みの札は、すべて裏返っていた。

夕方、紙戻し騎士長が頭を下げた。

「人足が足りない。一日だけでよい」

セウゴが断る前に、タカシが紙束を持ち上げた。

「一日なら、まあ」

騎士長は小さな受領札を出した。

「先に持った者の名だけ、控えます」

タカシは何も考えずに名を書いた。
セウゴも、空欄を残せず続けた。

翌朝、昨日の札が裏返っていた。

裏には小さく書かれていた。

前任者。
セウゴ、タカシ。

二人の名の墨は、もう乾いていた。
ファンタジー
公開:26/07/10 18:00
更新:26/07/10 13:04
#紙戻し課

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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