移動するお地蔵さま。

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 移動するお地蔵さまがいるという噂を聞きつけ、筆者は山奥の村に向かった。
 山道はとにかく狭く、鬱蒼と生い茂る木々が左右から迫り来る。まさに天然のトンネル。
 果たして私は無事に帰れるのだろうかと不安になっていた時、道がひらけた。
 そこには、民家と畑が交互に並ぶ小さな村があった。

「ようこそいらっしゃいました」

 声をかけてくれた男性の隣に、それはいた。

——お地蔵さまだ。

「もしかしてこれが例の……」

「はいそうですよ。村のみんなが自分の畑を自慢したくて、お地蔵さまを運ぶんです」

 男性は、台車に乗ったお地蔵さまの頭を撫でながら言った。
 移動する理由は実にあっけなかった。私はむしろ、お地蔵さまの形の方が気になった。
 お地蔵さまは、村人に撫でられすぎて、三頭身から二頭身になっていた。
 まるで三角のおにぎりのようで、柔和に微笑むその顔から、愛されているのが伝わってきた。
その他
公開:26/07/10 20:28

猫目ちゅん

のんびり屋さんです。優しいお話が好きです。読んでくださる方が、一瞬でも癒されたらいいなと思いながら書いています。癒し系小説家になりたい。サムネのイラストも描いています。

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