一日だけでよい

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紙戻し課の朝は、ひとり減った後のように静かだった。

改善係の席には、セウゴが座っていた。
机の上には、昨日の控えと赤鉛筆と呼出札がある。

タカシは入口で立ち止まった。

「帰るぞ。もう十分だろ」

セウゴは顔を上げなかった。
紙束の一枚目には、未処理、とある。

確認者欄は空いていた。

セウゴは赤鉛筆を避けて、呼出札だけを裏返した。
そこには、いくつもの名が並んでいる。

退席済。
応答なし。
確認不可。
照会済。

タカシの名だけが、まだ濃かった。

「書くなよ」

タカシが言った。

セウゴの指は止まった。
だが、奥の端末が低く唸り、人足欠乏表の赤が増えた。

紙戻し騎士長は、静かに頭を下げた。

「人足が足りません」

セウゴは息を吸った。

自分の声ではないように聞こえた。

「一日だけでよい」

その時、タカシの兼務札が、ひとりで首に戻った。
ファンタジー
公開:26/07/19 18:00
更新:26/07/27 22:14
#紙戻し課

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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