一日だけでよい
0
1
紙戻し課の朝は、ひとり減った後のように静かだった。
改善係の席には、セウゴが座っていた。
机の上には、昨日の控えと赤鉛筆と呼出札がある。
タカシは入口で立ち止まった。
「帰るぞ。もう十分だろ」
セウゴは顔を上げなかった。
紙束の一枚目には、未処理、とある。
確認者欄は空いていた。
セウゴは赤鉛筆を避けて、呼出札だけを裏返した。
そこには、いくつもの名が並んでいる。
退席済。
応答なし。
確認不可。
照会済。
タカシの名だけが、まだ濃かった。
「書くなよ」
タカシが言った。
セウゴの指は止まった。
だが、奥の端末が低く唸り、人足欠乏表の赤が増えた。
紙戻し騎士長は、静かに頭を下げた。
「人足が足りません」
セウゴは息を吸った。
自分の声ではないように聞こえた。
「一日だけでよい」
その時、タカシの兼務札が、ひとりで首に戻った。
改善係の席には、セウゴが座っていた。
机の上には、昨日の控えと赤鉛筆と呼出札がある。
タカシは入口で立ち止まった。
「帰るぞ。もう十分だろ」
セウゴは顔を上げなかった。
紙束の一枚目には、未処理、とある。
確認者欄は空いていた。
セウゴは赤鉛筆を避けて、呼出札だけを裏返した。
そこには、いくつもの名が並んでいる。
退席済。
応答なし。
確認不可。
照会済。
タカシの名だけが、まだ濃かった。
「書くなよ」
タカシが言った。
セウゴの指は止まった。
だが、奥の端末が低く唸り、人足欠乏表の赤が増えた。
紙戻し騎士長は、静かに頭を下げた。
「人足が足りません」
セウゴは息を吸った。
自分の声ではないように聞こえた。
「一日だけでよい」
その時、タカシの兼務札が、ひとりで首に戻った。
ファンタジー
公開:26/07/19 18:00
更新:26/07/27 22:14
更新:26/07/27 22:14
#紙戻し課
コメントはありません
ログインするとコメントを投稿できます
問い屋