油揚の花が咲く

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もう正午から幾ばくか経っただろうか。依然私はベンチに腰掛けながらちよこれーての沼に足を埋めていた。
ここはとても静かな場所だ。
時折コオロギのような自己主張の強い虫もやってくるが、皆、恍惚な表情で沼に沈み、また静けさが産み出される。
私はこんな愚かな虫と同じことがしたくてここにいる訳ではない。
待っているのだ。幼い自分の過ちが芽吹くのを。

老婆の群れがやってきた。
表情はにこやかだが誰1人として喋りはしない。
老婆は各々持ってきた色とりどりの小瓶を沼に傾ける。赤子の鳴き声と共に赤いソレは沼へ流れていく。小瓶から赤いソレが流れきった途端、老婆は大笑いしながらゆっくりと溶けていった。残った小瓶も沼に飲み込まれ全てがないものとなった。
  
また悪食の沼が全てを飲み込んでしまったのか。
待てども待てども油揚の花は咲かない。きっと明日も。
ファンタジー
公開:26/07/08 07:17

リマウチ

超ショートショート書いていきます

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