夢の担当者

0
1

七夕の夜、無料の夢診断を開いた。
最後に入力欄が出た。

叶えたい夢はなんですか。

私は書いた。
朝、決まった場所へ行かなくても暮らしたい。
苦手な人の機嫌を取らずにいたい。
毎月、少しでいいからお金が入ってほしい。

翌朝、担当者を名乗る男が来た。
「たいへん共有しやすい願いです」

名刺には、夢実現サポート係。
「利用範囲だけ、ご確認ください」
小さな文字の下で、私は同意するを押した。

次の日、予定表が白くなった。
その次の日、連絡先がいくつか空欄になった。
一週間後、仕事も依頼も誘いも消えた。

弁当を温める音だけが、部屋に響いた。
月末、口座に五十万円が入った。
振込名義は、願望使用料。

私の短冊は、講座の広告に使われていた。

好きなことで自由に生きたいあなたへ。

実現者の声。
名前の横に、小さく印があった。
本人確認済み。
SF
公開:26/07/08 06:53

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容