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命、命と、しきりに口にする先生は、腕に止まった蚊を躊躇いもなく、はしっと掌でとらえた

人の命と蚊の命、比べるものではないのかもしれない

しかし、どうにも、もやもやしたものが…

平和のための戦争って、あるのだろうか

戦争は戦争で、やっぱりそれは戦争だ


戦争は戦争でしかない

別の新しい人が大統領になるらしい

別の新しい戦争が、はじまる予感

ぼくの腕に蚊が止まった

血が吸われていく様を、ぼくはじっと見つめていた

ふいに視界にうっすら影ができて、それから手があらわれて

その手が、はしっと蚊をとらえる

蚊が血を流す

世界にも、血が…

―ふふっ

頭の上から声がした

顔を上げてみる

そこには先生の顔

―蚊が、死んでしまいましたね

ぼくが言うと

―蚊ですから、死んでもいいんですよ

平然と言って、先生は満面の笑みをぼくに見せた

その笑顔が、もやもやを大きくさせる
その他
公開:26/07/01 09:36

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