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空口料理評論家を名乗る者が現れた。彼はなにも食べずに料理を批評する。視覚と嗅覚のみで「香りが浅い」「火入れが雑」「余韻に品がない」と一刀両断し、店主が「召し上がってからお願いします」と皿を差し出しても、必ずこう断るのだ。
「食べたら公平性を失う」
その信念は高く評価され、テレビや雑誌はこぞって彼を起用した。視聴者も「先入観のない批評こそ本物」と拍手を送った。
やがて映画評論家は映画を観なくなり、書評家は本を読まなくなり、政治評論家は政治を知らなくなった。
体験は判断を曇らせる――それが新しい常識になった。
誰も現実に触れず、誰もが評価だけを量産する世界。テレビも雑誌もインターネットも、新しい発信を止めた。
そんななか、最後に残った料理人は誰にも食べられない料理を黙々と作り続けたが、その味は、誰にも批評されなかった。
誰もいなくなったからである。
「食べたら公平性を失う」
その信念は高く評価され、テレビや雑誌はこぞって彼を起用した。視聴者も「先入観のない批評こそ本物」と拍手を送った。
やがて映画評論家は映画を観なくなり、書評家は本を読まなくなり、政治評論家は政治を知らなくなった。
体験は判断を曇らせる――それが新しい常識になった。
誰も現実に触れず、誰もが評価だけを量産する世界。テレビも雑誌もインターネットも、新しい発信を止めた。
そんななか、最後に残った料理人は誰にも食べられない料理を黙々と作り続けたが、その味は、誰にも批評されなかった。
誰もいなくなったからである。
ファンタジー
公開:26/07/04 10:10
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintやAIで作成しています。
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いちいおと