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三枝さんの席は、
入口の横だった。
電話が鳴れば取る。
来客があれば立つ。
郵便が来れば配る。
席札には、
派遣、とだけ書かれていた。
「名前、書いてもいいですか」
総務の人は、
ラベルライターを引き出しに戻して笑った。
「すぐ覚えるから大丈夫」
三枝さんは、
社員の名前を覚えた。
内線番号を覚えた。
部長が怒る前の咳払いも覚えた。
誰の机なら開けてよいか。
誰の印鑑なら借りてよいか。
書庫の鍵が、
どの引き出しにあるかも覚えた。
半年後、
社員がひとり辞めた。
補充は、まだ先だった。
部長が言った。
「三枝さんはもう、
社員みたいなものだから」
翌朝、
席札が新しくなっていた。
派遣、の下に小さく、
みたいなもの
と印字されていた。
三枝さんは、
少し傾いた席札を、
まっすぐに直した。
入口の横だった。
電話が鳴れば取る。
来客があれば立つ。
郵便が来れば配る。
席札には、
派遣、とだけ書かれていた。
「名前、書いてもいいですか」
総務の人は、
ラベルライターを引き出しに戻して笑った。
「すぐ覚えるから大丈夫」
三枝さんは、
社員の名前を覚えた。
内線番号を覚えた。
部長が怒る前の咳払いも覚えた。
誰の机なら開けてよいか。
誰の印鑑なら借りてよいか。
書庫の鍵が、
どの引き出しにあるかも覚えた。
半年後、
社員がひとり辞めた。
補充は、まだ先だった。
部長が言った。
「三枝さんはもう、
社員みたいなものだから」
翌朝、
席札が新しくなっていた。
派遣、の下に小さく、
みたいなもの
と印字されていた。
三枝さんは、
少し傾いた席札を、
まっすぐに直した。
その他
公開:26/06/29 12:00
更新:26/06/28 16:55
更新:26/06/28 16:55
#鍵束を渡された人
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