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さめざめしとしと、雨。大好きな六月だけど、あと少しで終わる。傘を差して歩くのがお気に入りなのに。
庭に住んでいる妖精のヨヒラに相談したら、彼女はやさしくほほ笑んで言った。
「雨を降らせる方法があるわ」
「どんな方法?」
ヨヒラはわたしを手まねきして近寄らせた。
「憂うつを探すの。簡単よ」
耳もとでささやく声は魔的。わたしは素直に従う。
「なんなりとお申しつけください、お嬢様」
自分の声だけど、自分じゃないみたい。ヨヒラは高らかに笑って命じる。
「紫陽花の葉脈を丁寧にたどると、分かれ道に真っ黒な吹きだまりがあるわ。それが憂うつ。見つけたらあたしに知らせて」
憂うつの正体は、誰かの落としたため息だった。ヨヒラはそれを小さな手で握り潰し、わたしの前で開いて見せた。
不安になるほど無垢で白い霧雨が視界を占める。傘を差しても防げない孤独は苦手。すぐに降参して、ついでに雨も嫌いになった。
ファンタジー
公開:26/06/26 23:48

いちいおと

☆やコメントありがとうございます✨

作品のイラストはibisPaintやAIで作成しています。

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