牛になる棋士。

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 公式戦で一度も勝っていないプロ棋士がいる。名前は牧原草太。32歳。
 攻め方が下手? 守り方が下手? いや、そもそも勝負にすらなっていない。
 では、なぜ一度も勝てないのか。それには彼の体質が関わっている。
 将棋には『歩』という駒がある。打ち方にもよるが、総じて最初に動くことが多い駒だ。
 牧原棋士がその『歩』を持つと、極端に動きが遅くなる。むしろ動いていないのではないか、と思うほどである。
 それゆえに持ち時間を使い果たし、負けてしまうのである。
 彼曰く、
「歩を持つと、まっさらな草原が見えるんです。その雄大さに見惚れていると、牛になってしまうんです」
 とのこと。筆者も頭を傾げることしかできなかった。本当に意味がわからない。
 先日の試合でも『牛歩の棋士』などと揶揄され——

 ——次回も牧原棋士特集。
『公式戦0勝の棋士……実は無敗!? 彼がプロになれた理由』をお届けします。
ファンタジー
公開:26/06/20 20:12

猫目ちゅん

のんびり屋さんです。優しいお話が好きです。読んでくださる方が、一瞬でも癒されたらいいなと思いながら書いています。癒し系小説家になりたい。サムネのイラストも描いています。

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