第5話:百年眠った話(繰越)

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昔、城が眠った。

原因は糸車とされた。

針、倒れた娘、閉じた門、伸びた茨は記録に残っている。

ただ、眠ったのは娘だけではなかった。

門番。
料理人。
馬。
火にかけた鍋。
途中だった返事。

係員は城内のものを同時停止として扱った。

事故欄には姫の名が太く書かれ、ほかの名は付属欄へ移された。

百年後、門が開いた。

解除者の署名は水でにじんでいた。

照合できないまま、解除済みの印が押された。

祝宴の絵は先に製本された。

姫の欄には朱印。
城内状況欄には復旧済み。

倉庫には別紙の束が残った。

百年前の日付の勤務札。
途中で止まった伝言。
火の跡だけ残った鍋。
持ち主不明の小さな鍵。
年齢欄の空いた名簿。

係員は最後に起床済みの札を貼った。

その下で、繰越欄だけがまだ開いていた。
ファンタジー
公開:26/06/18 07:00
更新:26/06/14 05:20
#童話の事後記録

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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