第4話:赤い布の話(教材化)

0
1

教材室の棚には、
赤い布が残っていた。

昔、森道で
子どもがひとり
祖母の家へ向かった。

名は、
後から小さくされた。

籠には、
パンと小瓶が入っていた。

道の途中で、
誰かと話した記録がある。

相手の名は、
初期の写しにはない。

声の高さ。
歯の大きさ。
寝台の位置。
戸を開けた時刻。

係員は、
順番に丸をつけた。

森道には、
複製番号が振られた。

祖母宅は、
毎年同じ位置に置かれた。

寄り道。
返答。
入室。
救助。

子どもたちは、
その順番を覚えた。

後の版では、
相手は狼とされた。

猟師の欄は、
太く印刷された。

祖母の欄は、
動かされなかった。

ただ、
狼の名だけは
鉛筆で書くことになっていた。

消した跡は、
棚板に移った。

誰も拭かなかった。
ファンタジー
公開:26/06/17 07:00
更新:26/06/14 05:19
#童話の事後記録

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容