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生まれ変わりたいと、切実に考えていた。
少ないエネルギーで立ち回るようにつとめ、同調して笑い、物分かりのいいふりをしながら他者に道を譲る。本当の私は、どうしようもないくらいいじけた人間であるというのに。もう、疲れてしまった。眠れない毎日にも、すり減らすだけの人生にも。
真夜中の散歩が日課になっている。今まで何十、何百回と通り過ぎた『◯◯のるつぼ』の前で足を止める。
誰もいない駅のロータリーで、たった一本だけ枯れずに残ったたくましいケヤキがある。意味があるようで、ないような◯◯のるつぼは、幹に付けた素朴な木片に、何者かが走り書きしていた。私の知る限り、数年前からそこにあった。
例えば木片を入口だとする。触れたらなんだか分からないものになり、溶けて別のなにかに成り変わることができる――そんな空想を思い描いた。
私は、「これは逃亡である」と隣に記し、月明かりの夜道をとぼとぼ歩いた。
少ないエネルギーで立ち回るようにつとめ、同調して笑い、物分かりのいいふりをしながら他者に道を譲る。本当の私は、どうしようもないくらいいじけた人間であるというのに。もう、疲れてしまった。眠れない毎日にも、すり減らすだけの人生にも。
真夜中の散歩が日課になっている。今まで何十、何百回と通り過ぎた『◯◯のるつぼ』の前で足を止める。
誰もいない駅のロータリーで、たった一本だけ枯れずに残ったたくましいケヤキがある。意味があるようで、ないような◯◯のるつぼは、幹に付けた素朴な木片に、何者かが走り書きしていた。私の知る限り、数年前からそこにあった。
例えば木片を入口だとする。触れたらなんだか分からないものになり、溶けて別のなにかに成り変わることができる――そんな空想を思い描いた。
私は、「これは逃亡である」と隣に記し、月明かりの夜道をとぼとぼ歩いた。
その他
公開:26/06/10 01:57
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintやAIで作成しています。
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いちいおと