第3話:森に置かれた話(残余)

0
1

昔、森で
子どもが二人見つかった。

名は、
後から並べられた。

持ち物は、
小さな布の上に置かれた。

白い石。
湿ったパンくず。
菓子のかけら。
黒く焦げた布。

係員は、
ひとつずつ札をつけた。

帰還意思。
経路不明。
誘引物。
火気接触。

子どもは、
同じ方を見て黙っていた。

確認欄は、
最後に開かれた。

発見場所。
帰還先。
供給状況。

いくつかの欄は薄く、
発見場所だけが
濃く押された。

かまどの記録は、
危険物として処理された。

菓子の家は、
誘引建築として
撤去済みとされた。

後の写しでは、
子どもたちは
賢く帰ったことになった。

小石は残った。
布も残った。
焦げた跡も残った。

パンくずだけが、
持ち物欄から
消えていた。

帰還済み。

その下に、
小さく余白があった。

飢え。
ファンタジー
公開:26/06/16 07:00
更新:26/06/14 05:18
#童話の事後記録

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容