煤竹色奇譚

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強風吹きすさぶ海岸に佇む男が独り、
外套の帯が狂おしく跳ねる中、
引き波に思いを馳せている。

私はその男の傍らで、
靴にビニール袋を被せ寄せ波と戯れる。


曇天から舞い降りる一筋の光。

ぬらぬらと輝く、頬の米粒。

暮れゆく先の燐光に、
左右の視線が一点で爆ぜて重なり囚われ、
どうしようもなく唇を揺らし抗えずにいる。


煤竹色の潮騒が、静寂を孕んで包み込み、
ゆらゆらと手招きをしている。

黒そぼる宵闇に、ただ、がっくりと形を崩した朽ち縄と、砂塵に溶けゆくビニール袋。

波音の重なりを切り裂きながら、
異形の音がせせら笑う。


シャカシャカシャカシャカ……


――ポツリと、薄暗い机の端に。
米粒がひとつ、置き去りにされている。
ホラー
公開:26/06/13 00:23
更新:26/06/13 00:28

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