愚痴猫

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 家の前で鳴いていた猫を飼い始めた。真っ白な猫なのでシロと名付けた。
 シロは夜になると私の膝に乗ってくる。
「今日、会社で主任に小言を言われたの。ほんとに嫌な奴」
 シロは私の愚痴を聞いてくれる。話すと気持ちがすっきりする。
 翌朝見ると、シロの毛が、真っ白からクリーム色に変わっていた。

 一週間後。
「拓也と喧嘩しちゃった。どう考えてもあいつが悪いのに」
 シロはまた愚痴を聞いてくれた。
 翌朝見ると、シロの毛が薄い茶色になっていた。

 どうやら、シロは私の愚痴を吸い込んで、毛の色が次第に濃くなっていくようだ。三か月後には茶トラ猫に、半年後にはキジトラ猫になり、一年後には、とうとう黒猫になった。
 
 真っ黒になったシロを見た日、私はまたシロに愚痴をこぼしてしまった。
 するとその翌日、私の部屋の壁が真っ黒に染まっていた。どうやらシロの容量が一杯になり、愚痴があふれ出したらしい。
ファンタジー
公開:26/06/07 07:28

ナラネコ

老後の楽しみに、短いものを時々書いています。
2026年4月から、noteにも投稿始めました。
https://note.com/naraneko

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