固有談話証明

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王都の広間では、
月に一度、
本人にしか語れない話を
持ち寄る会があった。

講壇の横には、
登録机が置かれている。

挫折。
復活。
介護。
旅。
夢の実現。

申請書には、
経験の種類を三つ選ぶ欄と、
拍手見込み数を書く欄があった。

人々は順番を待ちながら、
古い傷の言い方を整えていた。

「語れるほどのことがなくて」

青年が白紙を出すと、
係員は奥から別の札を持ってきた。

未語り席。

最後まで聞いた話。
相づちだけ打った話。
名前を覚えている話。

青年は迷い、
一つ目だけに丸をつけた。

係員は、
壁際の椅子を指した。

「発表はありません」

夕方、
広間の灯りが落ちたあとも、
その椅子だけは片づけられなかった。

札には、
聴取済、
と書かれていた。
ファンタジー
公開:26/06/11 18:00
更新:26/06/08 23:13

問い屋

問いを描くショートショートを書いています。
 
その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
 
問いの続きを、ここにまとめています。

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